Act03: 発覚: section01

発覚

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    EDEN/D-6
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D-6の
プラットホームを出てから
メイン通りの〝イノガシラ〟を
西へ5分…。

〝ヤネウラ〟を
右手に折れた路地に面して
僕が所属する会所がある…。

会所の形状は立方体。
外壁の表面材質は
不透明な乳白色だ…。

通りに面した壁面に
ゲートがあって。

そこを抜けると
グレースケールで着色された
ロビーが広がる…。

「……」
…どこのフォーラムだろ…。
誰が主催者だ…?
今日は…。

…所長か…?
畠さん…か…?

会所には
いくつかのフォーラムがあって
使用中のフォーラムは
ロビーに掲示されている
はずだが…。

主催者:D-6会所長。
内容:打ち合わせ。
フォーラム:No.115。
備考:メンバーのみ。

「……」
掲示板に
〝D-6会所長〟の
文字を見つけた…。

内容。
…打ち合わせ…。

…打ち合わせって
何だよ…。

そもそも僕は今日
何の用事で呼び出されたんだ…?

「……」
…なんだか
嫌な感じ…。

…腹の底の方から。
せり上がってくる。

…これは。
嫌悪…感…?

「……」
僕は軽く息を吐いた…。

ここで考えていても。
何かがわかるわけじゃない…。

僕は
掲示板に示されていた
フォーラムに足を向けた。

かつかつ…。
フロアを歩く…。
…かつかつかつ…。

シャッバート・イブのせいか
あまり人気(ひとけ)がない。

かつかつ…。

自分の足音ばかりが
耳につく…。

突き当りを左。

目の前に見えた
フォーラムNo115。

プレートのかかったドア…。

僕はドアの前で
もう一度軽く息を吐き
ドアをノックした。

それから
…がちゃ…。
ドアを開けた…。

「……」
一斉に
中からの注目を浴びて
僕は思わず足を止めた…。

すると…。
「あ、た、滝さんっ」

部屋の中から真っ先に
神崎さんが声をかけてきた。

それから紺谷さんが
僕のそばまでやってきて…。

「滝さんっ。滝さんっ。早うっ」

突っ立ったままの
僕の腕を引いた…。

「早よ。早よ。こっち来て…」
「ま…待って…」

僕が戸惑っても
そんなことはお構いなしに
紺谷さんが
腕を引っ張る…。

ぐいぐいぐい。

がた。がたがた…。

僕は椅子やら
机やらに引っかかりながら。

がん。

ごみ箱に引っかって。

がららららん。
それを蹴飛ばした…。
「……」

僕は立ち止まった…。

そして
紺谷さんの手をふり解いた…。

「…滝さんっ…」

そしてなおも
僕の腕を捕まえようとする
紺谷さんの手を。

ぱん。

払った…。

「……」
紺谷さんが黙ったので
僕は身を屈めて
ごみ箱を立て直そうとした…。

…と…その時…。

「滝君。余裕、じゃないかい?
 もう、もう、話、は
 ついちゃっている
 …という事、かな?」

不意な声がした…。

顔を上げると
いつのまに近くに来たのか
所長の顔が
僕の目の前にあった…。

…クリスプが顔の前で
くねくねと動いている…。

「そんな事は、ない、よね?
 僕は、君を、とても、
 信頼、しているんだよ。ね?」
「……?」
「さ、ささ。こっち、に、来て。
 皆、の前で、釈明、釈明して」

…?…釈明…?
何の…。

「君、は有能だ。とても、神、に
 愛されている。その青、い髪も、
 紫、の瞳だって、神に
 愛されて いる証拠、
 なんだよ。ね?」

口は笑顔に曲がっていても
笑っていない所長の表情
(かお)…。

「……」
僕はゆっくりと
屈んだ状態の体を伸ばした…。

僕の顔を追って。
所長の目線も上がる…。
「……」
「……」

一瞬
見合ったような気配になった…。

…と…。
「滝さぁん。謝っちゃって
 下さいよぅ。じゃなきゃ、
 オレ達は、関わりないって…」

部屋の奥から
神崎さんが
僕に向かって声を上げた。

そして…。

「そうでっせ。滝さんの口から、
 所長と、畠さんに
 言うてもらわんと…」

そう言いながら紺谷さんが
一度は離した僕の腕を
また掴み直した。

…な…なん…だ…。
一体…何…?

僕は
僕の腕に掴まっている
紺谷さんに向き直って言った…。

「何の話?さっきから…」
すると…。
「何の話やあれへん。
 とぼけんといてくれや」

紺谷さんはそう言って
掴んでいる手により一層の力を
こめて僕の腕を引っ張った…。

「…ぃた…ッ…」
「滝さんのせいでオレらまで…」
「……」
「冗談にもほどがありまっせ。
 ちゃっちゃとしゃべって…」

紺谷さんが
いよいよ怒声になりかけた時…。

「あのさ」

それまで黙って座っていた
畠さんが口を開いた。

「見てもらえばいいんじゃないの?
 そんなところで
 ごちゃごちゃ言っているより。
 それが早いでしょ」

「……」
紺谷さんが沈黙した…。

畠さんの頭髪は
インディーゴ・ブルー。

しかも音感Bクラスで
いわゆるIBクラスと呼ばれ
業界では
トップクラス扱いされている…。

「あ、そ、そう…。そう、だね」

所長が慌てて
畠さんに近寄って行った…。

そして
一枚のDVD-ROMを
摘み上げて
僕の方に向け
ひらひらと動かした。

「滝、君。これ……」
「……?」
…な…なんなんだよ…。
だから…。

「まあ、みんな。見ようよ。
 落ち着いて。話は、それから」

畠さんがそう言うと
紺谷さんも
神崎さんも
元いた場所に戻った…。

「ほら。滝君、も。
 そんな、ところに、
 突っ立って、いないで」

所長が僕に投げかけた…。

僕は…。
「……」

…がたん…。
一番近くにあった椅子に座った…。

「じゃあ、じゃ、かける、よ?」

所長が
畠さんの顔色を覗うように言った。

畠さんが黙って肯くと
所長は
PCのCD-ROMユニットを開け
持っていたCDを挿入した…。

ふぃふぃーいん。

少しの沈黙の後。
CD-ROMの回転音が鳴った…。

ひゅん…。
ひゅうぃーーーんんん…。
ひゅぅーーーーん。

…そして…。
起動……。

スクリーンに映し出される。
…フェード・イン…。

背景色から…。
…メインルーチン…。

「……」

…がたっ…。
僕は身を乗り出した…。

「…こ…。これ…?!」

ぽぽぽん…。

続いて
部屋に音と映像が流れた…。