終章: 私に還る道へ: 小章2

ありのままに生きる

今は、何もできなくなった自分を
否定するのではなく。

「これも私なんだ」
と受け止められるようになった。

でも、ここにたどり着くまでには
長い時間がかかった。

「役に立たなければ」
「何かを生み出さなければ」
「何かを成さなければ」

そんな思いがずっと
私の意識の中にあった。

だから、何もできない日は
自分がただただ無価値に思えて。

情けなく思い、虚無の波に
飲まれることも多かった。

そんなある日
主治医にこう言われた。

「生きていること自体に
 意味があるんですよ」

その言葉は、私の心に
意外なほどすんなり染み渡り
そして深く響いた。

「生きていることこそに
 意味がある。他のことは
 人生をより楽しむための
 オプション」

そんなふうに思えた時
肩の力がふっと抜けた気がした。

それまで
自分を縛っていた何かが
ふんわり緩んだようだった。

生きている意味を見つけてもいい。
生きている価値を探してもいい。

だけど苦しくなったなら。

それはどこか自分の魂の声と
違う道を歩いているのではないか?
と、そっと気づいてみてほしい。

そして思い出してほしい。

「生きていること自体に
 意味がある」と。

それはもちろん
私自身にも言えること…。

何度揺れてもいい。
そのたびに
原点に戻ればいいだけだから。

それが、ブレない人
と、言えるのではないかと
今は思ってる。

これからも
そのことを深く心に刻んで
歩んでいきたい。

『命のキャンドル』

歌詞『命のキャンドル』

死にたくても 生きていくんだ
たとえ今 足が止まっても
見上げた先に 空があれば
きっといつかは 笑いあえる

そんなこと無理に 思えても
君は今日まで 生き続けた
それがどれほど すばらしいか
君の心に 聞いてみて

孤独に震える夜が来たら
そのキャンドルに火をともして
それは君が手に入れた
命を灯す光だから
そうさ そうとも
そうさ そうとも

ありふれた言葉は かけない
君にはきっと無力だから
それでも僕は歌を歌おう
なによりも僕の 歩みのため

一人が苦しい朝が来たら
このキャンドルに火を灯して
それは君へ つながっていく
過去と未来の光だから
そうさ そうとも
そうさ そうとも


私物語~魂が還る旅~
とりあえずここで終わる。

でも、この物語は
一生続いていくものだと
思ってる。

今は生き抜いてきた自分に。

── 乾杯 ──