C さんと別れた後のこと。
私は
以前から知り合いだった
東京に住む M 君と婚約をした。
音楽仲間で
もう何年も前から
交流のあった彼。
思えば
寂しいときには
いつもそっと
そばにいてくれた存在だった。
でも、私は
他の男性と付き合ってばかりいて
彼を見ていなかった。
そんな彼と
山暮らし中に再開し
婚約するに至った。
M 君はずっと
私が自分の腕に収まる日を
待っていてくれた…。
でも、M 君とは
約2年でお別れとなってしまった。
彼は根っからの東京人だった。
それでも週末になると
山にいる私に
会いに来てくれた。
一生懸命
会いに来てくれたのに。
バスが家の
約1キロ手前までしかないから
彼はそこで降りて
暗い山道を登ってきた。
冬は道路が凍るから
何度も転びかけたと言っていた。
当時は彼がどんな思いで
会いに来てくれているのか。
彼の大変さや、苦労
悩みなどを
私は理解しようとしなかった。
気遣えなかった。
彼に優しくなかった。
ただ
自分の山暮らしの
快適さだけを
大事にしていたように思う。
そんな風だった自分の
後悔やつらさが今でもある。
もし
いつかどこか再会できたなら
ごめんなさいと
ありがとうを伝えたい…。
そして私なりに
幸せな時間だったということも…。
この小章を
書いているうちに
ふと思い出したことがある。
あの頃の M くんの
気持ちに触れて
書いた歌があったこと。
『again』
※DTMアレンジバージョン。歌は合成音声です。
歌詞『again』
僕の腕の中に在る
今 改めて君を感じて
その確かな重みと 温もりと
その微笑みに 僕は触れてる
かなわぬ事と あきらめかけた
けれど いつも 想っていた
いつか僕は もう一度この腕に
君を抱く日が 来るその時を
again again
もう迷わないね 僕たちは
僕は君を 君は僕を
求め歩んだ それが今 結ばれる
幾度も出逢いながら
別れを告げた遠い日の
その遥かな記憶の 果てまでも
今 君に触れ 思いおこすよ
again again
もう離れないね 僕たちは
君は僕を 僕は君を
探し歩んだ それが今 結ばれる
……あのとき。
彼の腕におさまることは
できなかったけど。
今でも彼との時間を
思い出して
切なくなる自分がいる。