第5章: 宇宙からの贈り物 ~山との暮らし~: 小章1

星たちに導かれた日々

私の状態は
安定してはいなかった。

そんな中で
いやだからこそ
だったのかもしれない。

私は自分の住む家を
探してた。

それは
「居場所」
という意味合いを
強く持ってたような
気がする。

見上げた星と

ある晩のこと。

ふと見上げた夜空に
ひときわ輝く
4つの星が
視界に入った。

次の瞬間
理由もなく
「その星たちの交点が
 私の住む場所だ」
と確かな感覚を持った。

そして
その星たちは
日本各地のどこかに
リンクしている
と確信した。

理由はない。
ただそう思った…。

地図を広げて
その交点にあたる場所を
探し出した。

さらに
頭の中には
ぼんやりと浮かんでた
家のイメージがあった。

その家のまわりの景色と
そして。

「田辺製作所」
と書かれた
軽トラックが
停まっている風景も。

また
交点から
車で30分ほどの場所に
その家はある——。

そんなメッセージも
はっきりと受け取ってた。

実は
このときも
私はひとりではなかった。

前章で触れた
C さんと一緒に
未来を描こうと
してた時期だったから。

でもその関係もまた
あとに訪れる
山での日々の中で
その役割を終えて──。

私は一人を選んだ。

けど。

C さんがいなければ
私は"そこ"には
たどり着けなかったから。

今も感謝してる。

たどり着いた先で

広げた地図上の
交点と思しき場所には
ほとんど山しかないように見えた。

でも
必ずそこに彼の地はある。

私はそう確信して
導かれるように
その場所を探しはじめた。

そして向かった先で
「田辺製作所」
という名前の会社を見つけた時!

パズルのピースが
ぱちんとハマるような
そんな感覚を覚えた。

そしてついにその日。

その家を見つけたのだった。

ぼんやり
浮かんでいたイメージが
はっきりとした形で
目の前に広がってた。

そこは
富士山をすぐそばに感じる
静かな山の中だった。

そう
富士の中だったのだ。