第3章: 愛と哀: 小章1

眠れぬ夜のすきまで

19歳で
同棲を始めた。

それからというもの
男性との関わりは多かった。

初めて付き合った人から
最後の人まで数えたら。

両手じゃ足りない。
両足も必要なくらい。

中には不倫の関係もあった。

今となっては、もう
10年以上
恋人レスでも
特に不都合は感じていないけど。

でも、20代の頃の私は
恋人がいないと不安で
ひとりでいられなかった。

誰かの体温に触れていないと
自分が
狂気に
引きずり込まれていくような
そんな気がしてた。

抱かれているときだけは
守られている気がした。

その時だけは
安心できて
ようやく涙を流せる。

そんな孤独な時間だった。

そんな中
私は一つの命を宿した。

でも
当時の自分には
自信も勇気もなく
中絶してしまった。

苦い思い出の中でも
ひときわ苦い思い出…。

ただ、実は今
その子(男の子)の魂が
そばに在ると感じている。

最近、その子に
「母さん」
…と呼ばれることがあって。

その声が私の母性を
強く揺さぶる。

罪悪感の先に
見つかったこのつながりは
言葉にできないほどに嬉しい。