第2章: 迷走の中の灯: 小章1

迷走の中の灯

高校進学を決めるとき
担任からは
「親が進路指導に来ないのは困る」
と怒られ。

母からは
「なんで
 私が行かなきゃいけないの!」
と怒鳴られ…。

そんなやり取りに晒されて
私の中に
なんかもうどうでもいいや
という気持ちが生まれた。

投げやりの果て

高校受験に真剣に取り組めず
「楽に入れるところでいいや」
…と、そんな投げやりな気持ちで
学校を選んでしまった。

だから
高校の合格発表を
見に行った日に。

自分が合格していることを
知ったときも。

嬉しいと思えなかった。

そんなふうに
中途半端に選んだ高校生活は
やっぱり灰色の3年間になった。

中学時代に続いて
生徒会役員になり
その仕事だけが
やりがいだったように思う。

やがて
初めての彼氏ができたけれど
それは甘い時間ではなかった。

同級生だったけど
告白があったわけでもなく
いきなりキスをされ…。

それが始まりだったから。

絶望に満ちる中で

何に絶望したのかは
もう覚えていないけど。

ただ、16歳のとき
自殺を決行した。

未遂に終わり
後には虚しさだけが残った。

そして私は学校に行かなくなった。

それでも音楽が
私を救ってくれた。

学校の外ではあったけれど
音楽事務所に
出入りするようになって
初めてのライブを経験した。

記念すべき初ステージは
たしか
六本木の小さなホール
だった気がする。

そこで私は
「人前で歌うことの生の歓び」
…を体中で感じたように思う。

学校には
少しずつ行くようになって
なんとか推薦で短大に進学した。

でも、入学式の日に
「ここは合わない」
…と直感してしまった。

登校したのは1ヶ月ほど
在籍は半年。

お金を出してくれた親や
推薦してくれた高校には
申し訳なかったと
今は思っているけど…。

当時は、いやたぶん
いつもそうだった。

私は自分のことだけで
いっぱいいっぱいだった。