ざん。
リゲルが高く飛んだ。
アリオンは、それを見た。
リゲルは
持っていた竪琴の弦(つる)に
髪飾りを番(つが)えて引いた。
びゅん。
鋭い切っ先が
アリオンめがけて飛んだ。
アリオンはそれを
今は、剣(つるぎ)となった
諸刃(もろは)で振り払った。
切っ先が割れ
近くの湖面に突き刺さった。
ぴしい。
ぴしぴしぴし。
すると
その切っ先が刺さった湖面から
みるみる凍結し
セカイに氷原(ひょうげん)が
広がった。
アリオンは、剣(つるぎ)となった
諸刃(もろは)を足元の湖面に刺し
それから、右手を高々と上げ
掌を開いた。
……。
すると、その掌の天空が割れ
そこから、光の螺旋(らせん)が
舞い降りた。
そして、螺旋(らせん)は
アリオンと、キボウの樹(き)を
包み込み、氷原に接した。
すると、その部分だけ
氷原(ひょうげん)ではない
草原になった。
アリオンが、手を下ろすと
光の螺旋(らせん)は
ふわふわと漂い
だが、一つの意志を持って
キボウの樹(き)を取り巻いた。
そして
紅い結実(けつじつ)を乗せ
螺旋(らせん) は全部の地に
広がった。
アリオンは
結実(けつじつ) が
全部の地において
調和良く配置された事を見届けた。
そしてそれから天を見た。
リゲルの姿はなかった。
アリオンは
七つ目の結実(けつじつ)が
配置された地に行き
その結実(けつじつ)を
両の掌に抱(いだ)いた。
そして、大きく一つ息を吸い
その地に、座(ざ)した。
それは、キボウの樹(き)と
対極の地であった。
セカイは、再び、回り始めた。