act01: 原点: sec03

愛と愛

レナ・ジュノンは
いつも見ていた。

ガイ・アの泉に映る
アリオンの姿を。

その勇士を。

そして、いつしか恋をした。

アリオン・ベテルは
いつも見ていた。

ガイ・アの泉に映る
レナの姿を。

その可憐な姿を。

そして……。

そして、己の中に
アレイアに感じるその愛と
違う感覚を覚えた。

だが
アリオンは
その己の感覚が理解できなかった。

だから、黙(もく)していた。

アリオンは、黙(もく)していた。

だから、同じように愛した。

アレイアと同じように
レナを愛した。

アレイアを愛する愛と、同じ愛で
レナを愛した。

だが、それ故(ゆえ)
レナには、子がならなかった。

だがそれは
アリオンには理解できなかった。

それ故(ゆえ)、レナは感じていた。
己の恋が、哀しいと感じていた。