布石
全ての謀(はかりごと)は、
EDENにあり。
人は全て、
EDENの民として、
EDENに委ね、
EDENに奉じ……。
そうして、生きる時を得る。
羊たちよ。
EDENを敬愛せよ。
それが。
まさしく道なのである。
--- 前号までのあらすじ ---
EDEN神によって、全てが支配される世界、エデン。そこに住む人々は、以前の世界(人世)での記憶をなくし、日々を平和に暮らしている。ある日 滝は会所に呼び出され、あらぬ疑いをかけられる。その疑惑を晴らすため、自分の中だけで暖めていた作品を公開する羽目に…。
--- 主な登場人物紹介 ---
滝 誠成(たきともなり)
この小説の主人公。色感 Bクラス、音感 Bクラスのクリエーター。男だが、美人でよく女に間違えられる。性格は、ぶっきらぼうの無愛想。やや感情的。
畠 暁(はたあかつき)
業界では、無敵のインディーゴクラス。エデンには批判的で、いつもどこか冷めている。だが、なぜか 滝には、優しいそぶり…?
布石の目次
- 接触子
- 傍受(ワッチ)
- 隠現
- 反物質
- 連鎖
- 予覚
- 音信
- 反歌
- 追言
- ディオン
問いを突きつけた瞬間、畠さんの意識が途切れる。沈黙の中で、僕は初めて彼の異変と、核心に触れる可能性を知る。
畠さんの口から明かされる「傍受(ワッチ)」。作品漏洩の正体は、外部からの侵入であり、僕自身の内側に無断で触れる行為だった。
ヒーリングセンターの仕組みから、脳波の傍受が現実味を帯びる。畠さんの示唆に追い詰められ、僕の感情は次第に制御を失っていく。
ロア・クラスの男たちに絡まれる僕。暴力的な接触の中で、〝カナン〟特有の疼きが再び目を覚まし、僕の意識は崩れ落ちていく。
赤髪の男と群衆、聞き慣れない歌。畠さんの冷静さと男の挑発の間で、僕の感覚と意識が揺れ動く瞬間。
帰宅後も消えない熱と違和感。深夜に届いた畠さんからのメールが、次の兆しを告げる。
畠さんからの緊急メール。僕の作品が危険とされる理由や、エデンでの記憶と意識の仕組み、自身が消去される可能性が明かされる。
畠さんのメールを読み返すうち、「消去」という言葉が現実味を帯びていく。混乱の最中、画面から文字が一つずつ失われて…?
畠さんを追って再び〝カナン〟へ向かう僕。畠さんを辿るほどに、すでにすれ違ってしまった事実だけが浮かび上がる。
行き場を失った僕は、畠さんが好きだと言っていたディオンの音を追う。そこで出会ったのは、畠さんの痕跡だけだった。